近年、企業の採用試験において活用が進んでいるのが、CBT試験です。この選考手法は、受験申込から結果通知までをワンストップで完結でき、受験者にも多くのメリットがある選考方法です。CBT試験を導入することで、主催者と受験者の両方に高い利便性をもたらしてくれます。CBT試験について把握し、活用してみましょう。
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採用試験にCBT試験が導入されている理由
CBT試験(Computer-Based Testing)は、受験申込から試験実施、合否通知まで、インターネット上やパソコン上で完結する試験形式です。この形式が採用試験に導入されている理由は、世間の情勢と、その高い利便性にあります。
2020年以降の新型コロナウイルスの流行により、社会人・企業はテレワークを導入し、営業先への訪問や出張をやめ、Web面談が導入されました。学生・学校に関しては、オンライン授業に変わり、採用活動もオンライン説明会や面接に変更されるなど、多くの変化をもたらしました。
このような変化により、検定・認定試験も、会場に集合する試験形式から、分散して受験できるCBT試験に移行しつつあります。CBT試験への移行は、主催者と受験者双方に大きな利便性が生まれるのがメリットです。
主催者の立場から見ると、受験票や合否通知の発送、問題の印刷、会場の確保、試験官の派遣など、従来の手間が削減されます。これにより、運営に関わる膨大な業務の簡略化が可能です。
受験者にとっても、CBT試験は非常に魅力的です。指定会場であれば、1年間を通じて好きな場所で受験できるため、通勤や宿泊にかかる負担が軽減されます。これは、働きながら受験を検討する社会人や、遠隔地に住んでいる受験者にとって大きなメリットです。CBT試験は、主催者と受験者のニーズに適した試験形式として、ますます広く活用されていくでしょう。
CBT試験を採用試験に利用するメリット
CBT試験を採用するメリットは多岐にわたり、受験者と主催団体の両方に多くの利点をもたらします。CBT試験の採用は、効率的で柔軟な選考プロセスを実現する重要な手段です。メリットを確認しましょう。
受験者
まず、遠くの企業に応募したくても、受験できない制約がなくなります。以前のように、基本的に企業の近くでしか実施されなかった採用試験が、CBT試験の導入によって自宅の最寄りの会場で受験できます。
これにより、地理的な制約が軽減され、受験機会が拡大することがメリットです。また、受験機会の増加もメリットのひとつです。CBT試験は通年での開催が可能であり、受験者はいつであっても試験を受験できます。
さらに、就職活動の効率化が挙げられます。試験終了後、受験者は判定結果をすぐに得られるため、試験結果を待ってから、次の会社を受験する必要がありません。
主催企業
まずは、業務を委託できることです。CBT試験では、試験の申込から受験料の回収や全国規模での試験実施、採点、合格判定など、運営業務のほぼすべてを一括で委託できます。これにより、業務の効率化が図れます。
また、試験の全国展開により、会社の認知度が向上することもメリットです。広告や宣伝活動と同様の効果を発揮し、受験者数の増加が期待できるでしょう。さらに、不正行為を防止できます。問題をランダムに出題することも可能なので、カンニングなどの不正行為を防止でき、試験の公正性を確保可能です。
効率的な試験運営も魅力です。問題用紙の印刷や輸送、配布、回収が不要であり、人による採点も必要ありません。また、受験会場の用意や試験監督官などの運営スタッフも不要です。これにより、採点ミスやマンパワーの削減につながり、効率的な運営ができるでしょう。
CBT試験で採用試験を実施するときの流れ
では、CBT試験はどのようにすれば導入できるのでしょうか。CBT試験を活用して採用試験を実施する際の、流れを説明します。まずは、要件のヒアリングや提案確認など、業者とのコミュニケーションからのスタートです。
業者から、要件や現状についてのヒアリングが行われ、システムを活用してどのような提案ができるのかが提示されます。提案に納得できれば、契約書が作成されるので、よく確認して契約しましょう。
契約を無事締結できたら、CBT試験の導入が決定します。次に必要なのが、スケジュールと要件の詳細合意です。導入後、サービスの具体的なスケジュールや要件の詳細を、業者と打ち合わせをします。
採用問題の提供と、登録検証の段階も重要です。CBT試験に欠かせない採用問題を作成し、試験システムに登録していく作業です。登録後は、正しく登録されているか、しっかりと確かめましょう。
必要に応じて修正が行われ、試験が確実に機能するように調整されます。テストセンターへの説明と、情報提供も行いましょう。試験を展開する全国のテストセンターに対して、事前に試験の運営ルールや、詳細な説明が必要です。
同時に、受験者向けの概要ページが作成され、試験情報が集約されます。受験者が試験情報を確認でき、サポートもできるよう、管理画面のアカウント提供と、その操作方法のレクチャー、さらに、商品価格や予約枠、試験会場、試験時間などの設定が行われます。
受験者はマイページから試験に申し込むことが可能となり、この段階の終了により、申込みの受け付けが可能です。その後受験者は、予約した日時において、予約したテストセンターで受験します。
試験後は、主催者側において、管理画面から試験結果を確認でき、Web画面での表示やcsvファイルでの取得が可能です。以上がCBT試験導入の流れです。CBT試験により、採用試験の運営と受験が効率的になり、主催者と受験者の両方にとってのメリットとなります。
CBT試験で採用試験を実施するときの注意点
CBT試験を活用して採用試験を実施する際には、注意があります。とくに、システム提供企業の選定や、運用において、以下のポイントに留意することが重要です。
トータルで委託できるか
CBT試験を導入する際、システム提供だけ依頼するよりも、トータルで依頼したほうが効率化できます。システム提供だけのケースでは、主催者側が、当日の監督者や会場手配、受験者からの問い合わせ対応など、さまざまなリソースを大きく割かなければなりません。コスト削減には、これらの面も委託できる企業を選定することが求められます。
会場数は多いか
CBT試験を成功させるためには、全国どこでも、いつでも受験できる環境が理想的です。そもそものCBT試験による採用試験のメリットは、遠隔地であっても受験できることです。企業が使用できる会場数を確認し、受験者にとってアクセスしやすい試験環境が整っていることが重要です。
サポート体制は充実しているか
サポートも重要な要素です。コールセンターや運営サポートが、採用試験当日だけでなく、土日祝日も含めた体制で対応できることが大事です。多様な受験機会を提供するためにも、柔軟で効果的なサポートを準備しておきましょう。
カスタマイズできるか
CBT試験の円滑な運営には、管理画面の充実や、分析サービスなどの機能が重要です。決済種別の豊富さやカスタマイズ性も重視されます。採用試験は、会社ごとに大きく仕様が異なるためです。
とくに、パッケージの変更や保守を自社で対応できるかどうかがポイントです。内部開発できる組織の場合、システムの変更や保守に迅速に対応できる強みがあります。
まとめ
CBT試験は、採用試験の選考プロセスを効率化する、優れた試験形態です。新型コロナウイルスの出現により、採用する企業が増加しています。インターネット上やパソコン上で完結するため、主催者は手間のかかる業務を軽減でき、受験者には柔軟な受験環境を提供できます。これによって、企業は優れた人材の選考に集中できるでしょう。選考の大幅なコスト削減を実現するCBT試験は、これからも導入が増えていくでしょう。