近年では、CBT試験という試験方式を導入する企業が増えています。CBT試験は資格試験として利用されることが多いのですが、企業の社内教育などにも活用することが可能です。この記事では、CBT試験の導入の現状や導入事例を紹介します。また、導入するメリットやデメリット、注意点も紹介しますので参考にしてみてください。
企業内でのCBT試験導入の現状
CBT試験とは、インターネットを利用した試験のことであり、試験は会場で行われます。CBT試験はさまざまな出題方式に対応しており、選択問題、論述問題、動画や音声を使った問題を出題することが可能です。
近年では、ライフスタイルが多様化され、多くの人が一斉に試験を受ける方式は時代に合わなくなってきました。また、CBT試験は会場に用意されている端末を使用するため、受験時の環境の差がありません。
あらかじめ必要なものが設置されており、インターネット環境が統一されています。会場には試験監督者がいるので不正行為の防止にも効果的であり、公平性や厳格性も確保できます。
CBT試験は、受験者と主催者ともに多くのメリットがあることから、有効な試験方法だと考えられ、さまざまな企業で導入や移行が進められています。
企業の社内教育におけるCBT試験導入事例
企業の社内教育にCBT試験を導入する場合、どのような方法があるのでしょうか。具体的な導入事例を見ていきましょう。
研修の理解度の測定
研修の内容がどのくらい理解できているのか測定するために、CBT試験を活用できます。研修の内容の中で重要なポイントを問題するとよいでしょう。とくにeラーニングや録画配信など、全員が同じ内容を学習する際に適しています。
また、研修の際に、試験を行うことを伝えておくと、受験者の参加意識を高められ、より高い研修効果が期待できるでしょう。
定期的な試験
コンプライアンスなどの定期的な試験をする際にも、CBT試験は適しています。情報管理をはじめとしたコンプライアンスに関しては、必要な内容を理解し、知識として身につけた情報を保たなくてはいけません。
そのため、コンプライアンス問題には継続的に取り組むことが重要です。定期的に試験を実施することで、常に新しい知識を身につけた状態を保つことが可能になります。
昇進試験・昇級試験
企業で行われる昇進試験や昇級試験にもCBT試験は活用できます。CBT試験は同時に同じ条件で試験を行えるため、全国に支社がある会社など、受験者が全国各地に散らばっている場合に適しています。
採点の手間もかからないため、担当者の負担を軽減することも可能です。合格者の成績や、その後の業績なども確認できるため、結果をもとにブラッシュアップもしやすくなります。
新入社員研修の確認試験
新入社員試験の確認試験としてもCBT試験を活用できます。過去の受験者による問題の漏洩も起こりにくく、同じ問題を繰り返し使えるので負担も少ないでしょう。少ない負担で新入社員の習熟度を確認することが可能です。
また、基本的なビジネスマナーは、eラーニングで学習することも多いでしょう。その場合でも問題の取捨選択は、eラーニングのデータを活用できるので負担が少なく済みます。
企業内でCBT試験を導入するメリット・デメリット
次に、企業内でCBT試験を導入するメリットとデメリットを紹介します。メリットとデメリットを理解した上で、導入するのかどうか検討するようにしましょう。
メリット 労力やコストを大幅に削減
CBT試験は、試験を実施するまでの労力やコストを大幅に削減できます。CBT試験は、パソコン上で試験を実施するので、問題用紙や解答用紙の印刷や、会場へ運送する必要がありません。また、試験直前までデータの更新が可能なので、最新の情報を問題に反映させられます。
メリット 情報漏洩のリスクがない
CBT試験は、試験問題の漏洩を極限まで減らすことが可能です。紙ベースの試験では、内部の人が情報を漏洩する可能性がゼロではありません。CBT試験ならば、問題にアクセスできる権限を明確にできるため、試験前に問題が漏洩することはないでしょう。
さらに、問題を1人ずつ変えることも可能なので、事前に問題を知れたとしても意味がありません。問題用紙や解答用紙の紛失や回収漏れも発生しないため、個人情報が流出するリスクもないでしょう。
また、試験中は監督者が巡回するため、不正な受験やカンニングなどの行為も防げます。情報漏洩やカンニングなどに対するセキュリティが強いのは大きなメリットといえるでしょう。
メリット さまざまな形式の問題を出題できる
CBT試験は、コンピューターを用いるため、動画や音声も扱えます。そのため、紙ベースの試験では出題することが難しい形式の問題を出題することが可能です。
とくに、学習の成果や理解度を測定する試験などの簡易的な試験に向いています。問題のバリエーションを増やせるため、受験者の能力をより細かく調べられるようになるでしょう。
デメリット 導入時に手間やコストがかかる
導入する際には、多少の手間やコストがかかるため、デメリットと感じる方もいるでしょう。しかし、一度導入してしまえば、それ以降は手間がかかりません。定期的に試験を実施するならば、手間やコストの削減が期待できます。
デメリット 通信環境の整備が必要
試験を行うには、通信環境の整備が必要になります。対策としては、試験中のトラブルでロスした時間を反映させるサービスを利用するとよいでしょう。
また、試験開始時と終了時のみ通信し、試験中はオフラインで利用できるサービスもあります。事前にトラブルを回避できる方法を用意しておくことで、解決できるでしょう。
デメリット コンピューター操作が苦手な人は不利になる
受験者の中には、コンピューターの操作が苦手な人もいるでしょう。資格試験などで活用する場合は不利になってしまうかもしれません。また、通信にタイムラグが発生する場合もあるため、ペースを崩されてしまい焦ってしまうケースも考えられます。
しかし、企業内での利用であれば、受験者は基本的なコンピューター操作はできる人が多いため、とくに問題はないでしょう。
企業内でCBT試験を導入する際の注意点
企業内でCBT試験を導入するには、いくつかの注意点があります。具体的な注意点を紹介しますので、参考にしてください。
不正防止対策ができているか
カンニングなどの不正防止対策をしっかり行うことが重要です。ウェブカメラを利用した監視や、他のアプリケーションを使用できないようにするなど、どのような不正防止対策が必要なのかを考え、導入するようにしましょう。
結果の通知方法
試験後に、どのように受験者へ結果を通知するのか考える必要があります。結果は試験直後に通知するのか、後日結果を通知するのかを検討しましょう。
前の問題に戻れるようにしておく
問題を進めていくうちに、前の問題に戻って確認したり解答を変えたりする場合もあるでしょう。その場合に備えて、解答した問題にも戻れるようにしておくことが大切です。
さまざまな問題形式に対応できるようにする
一般的な出題形式は記述式と選択式ですが、動画を視聴しての出題や、リスニングやスピーキングの問題形式もあります。どのような問題形式が必要なのか考え、さまざまな問題形式に対応できるようにしておくことが重要です。
まとめ
企業内におけるCBT試験導入について紹介しました。CBT試験は、さまざまな業種で取り入れられています。CBT試験は利便性が高く、公平性や厳格性が高いのが特徴です。試験問題や個人情報の漏洩のリスクも低いため、大規模な受験でも問題なく実施できます。試験中はオフラインにできるため、サーバーの負担に関しても心配いらないでしょう。CBT試験を導入するメリットとデメリットを理解した上で、導入を検討してみてはいかがでしょうか。