
ここ数年、CBTという試験方式の導入が増えているのはご存知ですか。従来の試験といえば試験会場では問題用紙と解答用紙が配られる筆記試験が主流でした。筆記試験は日程や試験会場が限られており、遠方のかたが試験を受けるにはハードルがありました。
しかし、CBTを導入した試験であれば、試験会場や日程の選択肢が多いため、これまでよりも気軽に試験を受けられます。
そこで今回は、CBTとはどんな試験なのかを解説します。安全性や具体的な導入例についても紹介します。
CONTENTS
CBTとは
CBTとは「Computer Based Testing」の略で、パソコンを利用して解答する試験のことです。試験会場に足を運ぶ点は同じですが、筆記試験とは異なり、試験ではパソコンしか使用しません。
CBTは、パソコン環境が整えられた会場で実施する試験方法です。試験会場は委託されたテスト事業者が取り仕切ります。テスト事業者が用意した会場や、パソコンスクールなどで実施されるのが一般的です。
CBTは筆記試験とは異なり、複数試験日が設定されています。また、実施箇所も多いため、会場に足を運びやすいところもメリットです。
PBTの違い
PBTはPaper Based Testingの略で、慣れ親しんだ紙の問題用紙と解答用紙を使用し、最近ではマークシート式の試験も増えてきています。コンピュータを使用するCBTと違い、PBTは紙を使用するので、カラーインクを使用した問題用紙はコストが高くなったり、スピーキングテストを行う語学試験では、同時に行いにくくなったりなどが課題です。
全国一斉に開催するPBTは、複数の会場が必要になるため、CBTと比べると一年に行われる回数が少なくなります。
IBTとの違い
同じくパソコンを利用した試験でIBTがあります。IBTはCBTのように会場に用意されたパソコンを利用するのではなく、自身でパソコン環境を整えて受験する試験方法です。実施場所は指定されないため、自宅などどこでも実施できます。
企業の関係者や学校の生徒など、団体で複数人受験する場合は、IBTを選択するケースが一般的です。
ただし、好きな場所で受験できるIBTはカンニングといった不正行為が発生しやすくなります。そのため、IBTでの試験を行うなら不正を見抜くシステムの導入が必要です。しかし、IBTは会場の準備が不要なため、一度の受験人数は無制限などのメリットがあります。
パソコンを利用した試験でも、会場で準備されたパソコンで受験するのはCBT、自分でパソコン環境を整え好きな場所で受験するのはIBTです。
CBT試験の導入が増加してきている理由は?
理由をいくつか紹介します。
出題方法が幅広い
スピーキングが必要な語学試験や動画を使用した試験には不向きなため、今までの試験は筆記や文章問題、図やイラスト等を使用した問題が多い傾向でした。コンピュータを使用するCBTなら、音声も使用できるためマイクで音声解答も可能です。
また、動画も使用できるため、スピーキング問題や複雑な図やイラスト、カラー問題を活用した問題も出題しやすいです。マークシート方式や短文の解答など、出題問題の幅が広がれば、筆記試験以外の視点から受験者の能力を知るきっかけになります。
受験がしやすい
通常の試験なら、試験日や開始時間、試験会場は決められているため、変更できない場合が多いです。体調不良になってしまったり、台風などの自然災害によって会場に行けなくなったりなど、試験を受けられなくなる可能性もゼロではありません。
CBTなら試験日や開始時間、試験会場も受験者が選べて、一年を通して各地で行われるため、もし試験日当日に予定が入っても変更が可能です。
セキュリティ面が安全
紙を使用した試験問題は、解答用紙の紛失や持ち出しにより、外部に情報が流出するリスクが高くなります。近年では、さまざまな方法を駆使してカンニングをする受験者もいるため、不正行為を未然に防ぐための対策も必要です。
CBTはコンピュータを使用した試験方法なので、試験内容を外部に持ち出されるリスクが減ります。問題はインターネットで暗号化し送受信し、受験者がそれぞれ別の問題を回答するため、カンニングそのものを防ぐ効果があるのもひとつの魅力です。
電子化しやすい
政府により、2026年までに公文書の管理方法を紙ではなく、電子化へ移行しようという動きが進められています。解答用紙や問題用紙などを電子化し、コンピュータによる試験方法へ移行する動きが試験業界にも広まってきました。
受験後にその場で回答結果を電子保存でき、電子化により受験者は合否の発表を待たなくてよくなります、また、ペーパーレス化をすれば、主催者は試験準備や合否の通知などの手間をかけずに済みます。
パソコンなどへ入力した瞬間に電子化されているので、受験者のあらゆるデータや解答結果をその場で保管できる手軽さも便利です。
CBT試験導入のデメリットも知っておこう
デメリットな部分も紹介します。
パソコン操作に慣れていないと不便
CBT試験はオンラインで行われます。日頃からパソコンを使用している生徒なら、なんの支障もなくスムーズに進められるでしょう。しかし、パソコンをあまり使用した事がない生徒だと、キーパッド入力やマウスの操作に戸惑ったり、聞き慣れない用語に慌ててしまって、問題を解ききれない可能性も無いとは言えません。
不慣れなパソコンのせいで、せっかくの実力が出せないとなると、非常に悔しい思いをするでしょう。CBT試験は、レパートリー豊かな問題を出せる一方で、紙の試験とは違う不便さも持ち合わせています。
みんなが平等に、制限時間内に問題を解ききれる配慮も必要になります。事前に動画などで操作方法などを予習できるようにしたり、パソコンに触れる機会を作るなど、生徒へのサポートも考えるようにしましょう。
試験用紙に書き込みができない
コンピュータを使用して試験をするため、一般的な紙を使用する試験とは違い、紙に書き込みができません。数式をいくつか書いて答えを出したり、答えを導き出すために候補を書いてみたり、漢字が合っているか試し書きしてみたり、ちょっとしたメモ書きや思いついた単語を書き連ねるなど、こういった動作ができません。
そのため、頭の中を整理しながら問題を解くという事ができなくなり、問題を解くまでの動作も限定されます。頭の中ででしか答えが出せないため、別の答えがあるのではないか、別の解き方があるのではないか、忘れている単語などは無いかなど、確認作業が出来ないのは問題を解くのに多少なりとも影響を及ぼしそうです。
CBTのメリットは?
CBTは、全国にあるテストセンターや自宅で試験が受けられる、コンピューターを使った試験の方式です。キーボードとマウスを使ってテストを受けるので、大量の紙が不要になったり試験監督などの人件費が不要になったりと、たくさんのメリットがあります。
CBT試験には一般の筆記試験にはない、多くのメリットがあります。以下で6つのメリットを紹介します。
コスト・手間を省ける
CBT試験では紙の問題用紙や解答用紙は不要なため、用紙を用意するコストや準備にかかる人件費を大幅に削減可能です。
筆記試験であれば問題用紙と解答用紙などを印刷し、不備がないか確認する手間がかかります。しかし、CBT試験であればパソコンを設置するだけで試験の準備は完了です。
すぐに試験結果が出る
CBT 試験は、終了後すぐに解答データが転送されます。あらかじめ正誤データがインプットされているため、短時間で大量の採点が可能です。筆記試験では、回収後の採点とその後の集計作業まで人の手で行っている場合が大半のため、結果が手元に届くまで一定の期間がかかります。
一方、CBT試験を活用すれば、すぐに通知を届けられるメリットがあります。また、企業が実施する適性検査などで活用している場合は、検査結果を元に、スピーディーに面接まで進めることも可能です。
データ分析に活用できる
従来の筆記試験でもデータ分析は可能ですが、分析するのに時間かがかかり、活用できるようにするまでは多くの時間が必要でした。しかし、CBT試験であれば結果はデータで一元管理されているため、集計はもちろん特定条件に当てはまるデータを抽出することも容易です。
また、筆記試験では得られない細かなデータも、CBT試験なら得られます。各問題にどれくらいの時間かかったのかなどのデータは、CBT試験でしか取得できません。
試験に関わるリスクを減らせる
CBTは筆記試験などで考えられるさまざまなリスクを減らせます。試験で考えられるリスクは、カンニング・替え玉受験・問題漏えい・紛失などです。
筆記試験では問題用紙や解答用紙を人が扱うため、紛失のリスクがあります。また、問題は事前に作られて保管しているため、漏えいのリスクも伴います。
しかし、CBT試験なら問題や解答内容はセキュリティ対策されているコンピューター内で管理されているため紛失リスクはなく、漏えいリスクもかなり軽減できます。また、パソコン端末には開始直前にダウンロードして実施するため、試験前に問題内容を入手することは困難です。
替え玉受験やカンニングも試験で見られるリスクです。CBT試験を導入している試験によっては顔認証システムを採用しています。受験前にパソコンで顔認証をし、本人とみなされないと受験できないよう、替え玉受験を防止しています。
また、カンニングは不正を感知できるシステムを導入すれば防止可能です。
試験会場では1台ずつにパーテーションを設ける対策や、試験監督者を配置することで、カンニングできない環境を作っています。
出題方法が多様
CBT試験であれば、音声や動画による出題も可能です。従来の筆記試験では、紙上で出題できる文章問題や図形問題、一部音声を流すリスニング問題くらいでした。しかし、CBT試験なら使用するパソコン内で音声による出題もでき、動画での出題も可能です。また、図形を移動させるなど、操作を必要とする問題も出題できます。
受験者の実力を確認するテストなど、文章による問題だけでは図れなかったものも、CBT試験を活用すると、正確な判断が可能です。
これらの6つのメリット以外にも、感染防止対策をしやすいメリットもあります。CBT試験は大規模な試験会場ではなく、小規模なテストセンターで行われることが大半です。そのため、感染症流行時期の試験でも、少人数のCBT試験であれば大規模の筆記試験よりも実施しやすい傾向にあります。
試験会場や試験日程の選択肢が多い
テストセンターで行うCBT試験は、筆記試験と同じように会場に足を運ぶ必要があります。しかし、CBT試験のコストや手間、人件費を省けるメリットから、筆記試験よりも多く試験会場を設けられます。これまでは、自宅から近い試験会場がなく受験を断念していた方でも、CBTを導入した試験なら受けられるケースも出てきます。
また、会場設置が容易なCBT試験は、ひとつの会場でも複数の日程が用意されていることも多いため、試験日も選択可能です。
このようにCBT試験は、日本漢字検定や日本英語検定などの資格試験や採用試験、学力調査などで使用されており、試験ごとにさまざまな試験場に行かなくても、最寄りのテストセンターで試験が行われるので受験者も主催者も、負担を減らせることが可能になりました。
また、CBTは問題が暗号化されて送受信されるので、人の手が加えられないよう対策されています。セキュリティが強化されているので、大事な試験で不正が起きにくくなっています。そのほか、従来の試験方法ではマークシート形式がほとんどで問題の幅が限られていましたが、CBTなら動画や音声を使う問題、受験者に操作させる問題も出題できます。
たとえば、日本英語検定では、2013年からCBT方式を採用しており、2016年度からは、スピーキングテストが5級や4級にも導入され、筆記やリスニングと同じ試験中に受けることができます。
従来は、3級以下はマークシートの筆記試験のみでした。しかし、CBTを導入したことでスピーキング能力も試験内容に追加しており、話す能力を身につけることが可能になりました。スピーキングテストを受ける人は、ヘッドセットなどをつけて、パソコンに向かって解答を話しています。
受験者側のメリットは?
CBTは、受験者にとってもメリットがたくさんあります。ここでは、受験者側のメリットについて解説します。
試験会場を自由に選べる
PBT試験では受験できる会場が限られており、特定の地域や主要都市でしか受験できないことが多いです。そのため、地方に住んでいる受験者にとっては、試験の会場に行くまでに遠くまで移動しなければならず、コスト的にも時間的にも精神的にも負担が大きくなってしまいます。
しかし、CBT試験の場合は自宅近くの試験場で受験が可能で、全国47都道府県のどのエリアにも会場があり、各エリアには複数の会場があるので、地方の受験者にとってもメリットは大きいといえるでしょう。
CBTは、全国にあるテストセンターのほか、パソコンがあれば自宅や学校、会社などさまざまなところで試験を受けることができます。自宅でも試験が受けられるのは、受験に対するハードルが低くなるメリットがあります。
PBT試験と比べてCBT試験は少ない人材で実施ができるために、小規模会場を多数用意されることが多いのです。
その場で試験の正答数が分かる
CBTは、コンピューターに直接解答を打ち込むので、解答を終えたその場で結果を知ることが可能です。従来なら、試験後は問題の正解が分からずモヤモヤしながら過ごした人や、答え合わせのために塾などの解説をチェックしていた人は多いです。
しかし、CBTを導入すればすぐに正答数が分かるため、その場で自分の解答と照らし合わせることができます。正式な合否発表の通知が来るのは当日ではありませんが、正答数が分かれば結果をドキドキしながら待つ必要はありません。次のレベルに向けての勉強や再挑戦のための勉強などに時間を有効に使えます。受験者の貴重な時間のロスが削減できます。
日程変更が可能
自分の予定で日程や会場を決めることができます。日時が多数用意されることが多いため
に、都合にあった受験日時を選ぶことができるのです。いきなり予定が入っても、1営業日前までに変更ができるので、受験者にとって申し込みしやすいといえるでしょう。確実な予定がたてられないので試験を受けるかどうか迷っている人には申し込みしやすいといえます。
受験者側のデメリット
これまでメリットを紹介してきましたがデメリットも存在します。主催者側のデメリットとしては、コストや運用面でのリスクがあります。CBT導入には、イニシャルコストやランニングコストが発生してしまう点がネックといえるでしょう。
ただし、紙代や配送代、監督の手配などのコストが削減できるので、CBT導入で削減できるコストと、新たに発生するコストを把握したうえで、トータルでコストを確認しておくとよいでしょう。
メリットでお伝えしたセキュリティ面ですが、監督者やカメラなどがあり、入室前に本人確認するなどカンニング対策も行われています。しかし、直接主催者側が受験者を監視することができないため、不正行為を100%防ぐことができるとはいいきれません。
また、コンピューターを利用しているために、通信エラーやシステム障害がおきる場合があり、試験に支障をきたしてしまう場合があります。大幅な障害が発生してしまうと、試験の開催自体が中止になる場合もあるというリスクはデメリットといえるでしょう。受験者側にとっても、デメリットはおもに3つあります。
慣れていないと時間がかかる
コンピューターを使用するために、普段からコンピューターを使い慣れていない人にとっては時間がかかる場合があるでしょう。
モチベーションの維持ができない
試験が一斉に行われないので、緊張感がうすれて集中しにくいということがあります。また、主催者側に直接監視されることがなく、カメラや監督者に監視されている状況しかないため、試験に対して集中力がきれる場合があるでしょう。
もちろんリラックスして受験できる点はメリットといえますが、ペース配分やケアレスミスなどをおこしてしまう可能性もあるので注意が必要です。
通信環境に左右される
解答をコンピューターに打ち込んで送信しますが、通信環境を利用した試験なので、タイムラグや通信エラーなどの不具合により、試験の進行に支障が生じる場合があります。自分のペースが乱されてしまい、ストレスを感じてしまって思うように進めることができないこともあるでしょう。
CBTシステムを導入して試験を実施する方法
CBTシステムを導入することにより、主催者側にとっても受験者側にとってもあるメリットやデメリットについてお伝えしました。CBTを導入するにあたっては十分に特徴を把握したうえで、自社が提供する試験内容に合うシステムなのかどうかを検討することが重要です。
試験を実施する方法としては主に3つありますが、いずれかの方法から自社にあったものを選んで導入しましょう。
自社で開発
自社にエンジニアがいて技術力が高ければ、自社で開発するのもよいでしょう。自社にぴったりなシステムとなり、希望にあった試験が実施できます。また、不具合がおきても対応が容易にできるのも安心です。ただし、時間や労力、コストがかかることに注意が必要です。
外注する
専門知識や経験のあるシステム会社に外注するのもひとつです。こちらもオーダーメイドの発注となるため、システム構築から実装するまでに労力はかからないものの、時間とコストがかかります。
CBTサービス
各社が提供している既存サービスを利用する方法もあります。労力もかからず、導入までの時間も短期間で可能です。導入後のサポートも含めて、自社の試験に一番最適なサービスをみつけましょう。サービス選びのポイントとしては受験者が登録しやすく、試験後の成績管理がしやすいかどうかがポイントです。
どのような問題形式に対応しているのかも重要といえます。管理画面の見やすさや使いやすさ、受験者の利用のしやすさも確認しておきましょう。さらに、不正防止に関してもどのような対策機能がついているのか十分確認したうえで、どのサービスを選ぶのか決めてください。
主催側のメリット
従来のペーパーテストでは、会場準備、監督者手配、問題・解答用紙配布・回収、採点作業、解答用紙返却など、試験を円滑に回すための工数が多く存在しています。それに比べてCBT試験を導入すると主催者側にはどのようなメリットをもたらすのでしょうか。
ここでは、主催者にとってのメリットについて解説します。
負担が減る
CBTなら、どんな種類の試験でも会場が絞られるため、試験会場の把握や準備などの負担が減らせます。従来なら、全国各地で学校の教室を確保したり、試験監督の募集を掛けたりと、試験をするたびにたくさんの労力が使われていました。
しかし、CBTではパソコンを通して受験者の動向をチェックできるようになりました。試験後も、問題用紙の回収や採点などの労力が減らせるため、人件費の削減が可能です。
受験者のデータを一括管理できる
CBTは、受験者の情報も管理できます。
受験者1人ひとりの正答数や解答時間、学習到達度などを把握できるため、塾や学校の先生に掛かる負担もかなり解消されます。
試験の種類にもよりますが、受験票の発行も必要なく、受験者が提示する公的な身分証明書で本人確認をパソコンで行います。
管理されたデータから、合否の仕分けや連絡通知などもスムーズに行うことも可能です。また、分析結果をもとに、試験問題の質を上げていけるため、よりハイレベルな試験を実施できるのもメリットです。
作業工数が削減できる
CBT試験を導入することで、問題・解答用紙の印刷・輸送・配布・回収・採点・返却といった試験にともなう作業が一気に削減できます。
全国に設置されたテストセンターを利用すれば、会場準備や監督者などの人員手配が不要となります。
また、試験後にはコンピュータが自動で採点をおこなうため、人による採点も不要となり、採点ミスやマンパワーの削減にも貢献します。
情報漏洩リスクやカンニングが激減する
CBT試験では、厳格性の高い環境での試験運用が可能となり、従来の試験にあったような問題用紙の紛失や盗難の情報漏洩を激減させることが可能です。
試験中についても、試験官やAIによる自動感知による万全の監視体制が敷かれており、カンニングなどの不正行為を高レベルで防ぐことが可能です。
紙では出題できない問題が出せる
CBT試験であれば、イヤホンやマイクを接続し、音声配信を利用したリスニングテストや、会話力を判定するスピーキングテストを実施することが可能です。
CBT試験によってさまざまなバリエーションの試験が導入できるようになるため、受験者の能力を細分化して分析し、合格判定に活かすことも可能にします。
受験環境によるトラブルを防止できる
CBT試験であれば、個人所有ではなく、会場に用意された指定のコンピュータを使い受験するため、PCのスペックやインターネット環境によるトラブルを事前に防止することが可能です。
思わぬ機材トラブルが発生した場合に、特定の受験者だけ試験の進捗が遅れるといった心配がなくなります。
試験の受験者数を増加させられる
CBT試験は、全国のテストセンターを利用することで試験の認知度が向上し、かつ通年開催することによって、試験の受験希望者の機会損失を防ぎ、受験者数を増加させられます。
CBTが向いている試験の種類
CBTが向いている試験は、マークシート方式の試験です。CBTは採点を自動的に行えるメリットがあります。
あらかじめ、問題に対する答えの情報や採点ルールを設定するため、正誤が容易に判断できるマークシート方式なら、CBTの導入が容易です。
また、マークシート方式だけでなく、計算問題のような答えがひとつしかない試験や、理解度を判定するアセスメントテストなどもCBTは向いています。
反対に、記述式の試験やいくつもの答えが考えられる問題がある試験は、CBTには向いていません。採点者が判断して正解とする、もしくは部分点もある問題の自動採点は難しくなります。
CBTは試験中の災害対策になる
CBT試験は、コスト削減ができたり、セキュリティを強化できたりするだけでなく、災害対策もできます。受験中に災害が起きても、対策ができていれば安心です。
ここでは、CBT試験がなぜ災害対策になるのか解説します。これから受験予定の方や、試験を開催する予定の方は参考にしてください。
振り替え受験ができる
これまでの試験だと、災害が起きた際、致命的な影響があります。CBT試験であれば、受験中に災害が起きても、振り替え受験が可能です。
通常、試験は1年に1回ですが、災害が起きたときは直近で特別開催ができます。1年に1回の開催だと、受験者に大きな負担がかかります。
災害が起きて受験できなかった場合でも、直近で特別開催があれば、問題なく受験可能です。また、試験前に災害が起きた場合は、試験会場の変更ができます。
振り替え受験が直近で開催されれば、受験のために勉強した内容も忘れる前に再受験が可能です。
最寄りの試験会場が災害の影響を受けたとしても、ほかの地域にある試験会場で受験できます。
複数の日程で試験が受けられる
CBT試験は、従来の試験と異なり、受験機会が複数日あります。試験によっては、1年中受験ができます。
指定された期間であれば、受験者の都合に合わせて受験可能です。そのため、災害が起きた場合でも、日にちをずらせます。
受ける予定の試験について、受験可能日を確認しておきましょう。そして、その中から自分の都合がよい日にちで試験を受けます。
災害を経験した試験主催者から、災害に強いCBTは強く評価されています。災害が起きたとしても、柔軟に対応できる点が、CBT試験の大きなメリットです。
試験会場が選べる
CBT試験は、指定会場がないため、最寄りの試験会場で受験ができます。地方に住んでいる方でも、自宅の近くに試験会場があれば、遠方へ行く必要がありません。
災害が起きて被害を受けても、会場を選択できるため、受験日をずらさずに済みます。そうすることで、受験者への負担が軽減できます。
日本は地震が多い国で、いつ起こるかわかりません。試験前や試験中に地震などの災害が起きても、試験会場を変えたり、振り替え受験をしたり、対策ができます。
また、CBT試験であれば、試験数日前でも受験者によって日時や会場変更・キャンセルが可能です。そのため、試験日に台風予報が出た場合でも、無理をして会場へ行く必要がありません。
試験日の天気予報を確認し、天候が荒れそうであれば、会場変更の手続きをおこないましょう。
CBT試験のデメリット
CBT試験はパソコン操作に慣れていなければ不利になります。パソコンに不慣れな方は、解答に時間がかかったり選択を間違えたりする可能性があるためです。
また、塾で行う模擬試験を実施した場合、テストセンター会場では本番のような緊張感や雰囲気では行えません。CBT試験はパソコンを一定数用意する必要があるため、1000人規模の大きな試験を実施するのは困難です。大会場で行う緊張感漂う本番では、いつもの実力が発揮できないことも少なくありません。
模擬試験はCBT試験と筆記試験の併用がおすすめです。試験対策のためにも、定期的に模擬試験を受けることは必要ですが、毎回会場に足を運ぶのは大変です。両方を併用することで、本番のような緊張感に慣れつつ、時間を有効活用できます。
ほかにも、試験監督者にはIT知識のある人物を配置しなければなりません。トラブルが発生しても、迅速に対応できる技術力も必要です。ときにはシステムの確認が必要になるケースも考えられるため、このような人物を会場ごとに確保しなければならない点はデメリットといえます。
CBTの進化型「CAT」
CBTはテストを個別化する活用方法もあります。CBTの進化型としてCATがあります。CATとは「Computerized Adaptive Testing(個別最適型テスト)」です。
受験者の理解度に合わせて、出題問題を変更できます。受験者ごとに最適な問題を出題できるため、TOEICでも採用されている出題方式です。CATは通常よりも少ない問題数で、正確に能力を測れるメリットがあります。
また、海外ではCBTのメリットを活かして、テキストの読み上げ機能、ユニバーザルデザインの採用、マウスではなくキーボードで解答可能にするなど、支援が必要な学生のために活用されています。
教育業界ではDX推進が進んでいる
文部科学省が提示しているGIGAスクール構想や学習eポータルの提供などにより、教育業界でのDX化が進んでいます。その証拠の一部となるのは、株式会社SHIFTによる実態調査です。同社が2022年1月〜6月の期間に実施した調査によると、73%の学校ではDX推進が進んでいるという結果が明らかになりました。
実際に取り組まれているDX推進のための施策としては、授業のオンライン化・インフラ整備という回答が同調査結果の過半数を占めています。完全にDX化されているとはまだいえない現状ではありますが、できることから徐々に始めているといった印象を受けるのではないでしょうか。
教育業界のDX化を実現させるには、学校〜自宅間のインフラ整備やセキュリティ対策など、事前に行うべき準備が数多く存在します。準備のためには人手も必要であり、生徒の保護者の協力も欠かせません。
教育業界のDX化を進めるべき理由のひとつに「生徒一人ひとりに合わせた教育の実現」が挙げられます。生徒一人ひとりに寄り添った教育を行うことで、学びの楽しさや探究心を養えます。そのため、DX化は今後も教育業界を担う重要なプロジェクトとなるでしょう。
学校そして生徒含めた家族がDX化が必要である理由を再認識し、これからもできることから進めていくことが重要になっていくのではないでしょうか。
DX推進で紙テストからオンラインへの移行が進んでいる
紙を使用した従来のテスト形式から、オンライン形式へ移行するケースが増えつつあります。オンライン化への移行が進んでいる証拠として、有名な検定試験や国際試験のオンライン化やオンライン化に対する教員・保護者からの厚い支持が挙げられます。
まず、有名な検定試験のなかでオンライン化されているものとしては、日本漢字能力検定・実用英語技能検定・秘書検定・世界遺産検定などです。また、海外での事例としては、PISAと呼ばれる国際的な学力到達度調査がテストのオンライン化における代表例です。
PISAは、2015年からCBTへと移行しています。理数系の国際的試験であるTIMSSも、2019年からCBTが一部導入されました。
そして、CBTへの移行は教員や保護者の方々からも支持を集めており、今後も徐々にオンライン化が進んでいくことが期待されています。基礎学力研究所が2022年7月14日に公表した調査によると、約8割の教員がCBTを実施したいと回答していることが明らかになりました。採点業務の負担が軽減されることや、生徒ごとの学力の把握がしやすくなることにメリットを感じている教員がとくに多いという結果も出ています。
一方、保護者からの支持は、イー・ラーニング研究所の調査で明らかになっています。2022年6月13日に発表した調査結果によると、約9割の保護者はテストのオンライン化に賛成していることが分かりました。理由としては、どこでもテストを受けられる点やテスト後のフィードバックを受けやすい点が多く挙げられています。
しかし、反対意見も少なからず存在しています。反対意見としては、カンニングなどの不正行為やインターネット環境に対して懸念を抱いているような内容が多いです。
また、テストのオンライン化を支持している保護者が多いにもかかわらず、CBTの認知度は3割程度でした。ITリテラシーに対してはまだ低いと回答している保護者も過半数を占めています。そのため、テストのオンライン化を今後さらに進めるには、保護者のCBTに対する認知やITリテラシーの向上が課題点の一部となるでしょう。
CBTをはじめとするテストのオンライン化に魅力を感じている人は多く、有名な試験から徐々にオンライン化されつつあるという現状があります。この現状はテストのオンライン化に対する糧となり、DX化の一環として、これからも徐々に普及していくでしょう。
国内のCBT導入例
CBTは国内のさまざまな試験で導入されています。企業や学校と、一般の検定試験それぞれの導入事例を紹介します。
企業の新卒・中途採用の適性検査
企業では、新卒や中途採用で取り入れられている、SPIや玉手箱などの適性検査でCBTが導入されています。
筆記試験で適性検査を行う場合、事前に問題用紙や解答用紙の準備、さらに準備と当日の会場の人員それぞれを確保する必要があるなど、手間やコストがかかります。しかし、CBTを導入した試験なら試験会場にパソコンを設置するのみで、用紙を印刷する手間は必要ありません。
また、試験に必要な人員も、事前準備に対しては筆記試験ほど必要ないため、人件費の削減が可能です。
試験後の作業もCBTなら手間も時間も削れます。CBTの採点はシステムを利用して自動で行うため、結果がすぐにわかります。そのため、適性検査の結果を手元に面接できるなど、効率的に採用試験を進めることが可能です。
学校での学力調査
近年では、学校での学力調査にCBTが導入されています。文部科学省は、小学生から高校生を対象としたCBTシステムを開発しました。生徒の学力や学習状況がデータ化されるため、今後の学習計画を立てるのに役立ちます。
今後、大学入試共通テストでもCBTの活用が検討されています。これにともない、いずれは大学入試でもCBT 形式が採用されるようになるなど、さらにCBTの導入が高まっていくでしょう。
資格・検定試験
答えがひとつしかない問題の多い、さまざまな資格・検定試験にもCBTが導入されています。CBTを活用している資格や検定試験の一部を紹介します。
日本漢字能力検定
実用英語技能検定
秘書検定
日商簿記検定
Eco検定
カラーコーディネーター検定試験
ビジネス実務法務検定試験
銀行業務検定
金融業務能力検定
ITパスポート
ITコーディネータ
これ以外にも、多くの団体で導入されています。
海外のCBT導入例
日本ではまだ導入されていませんが、海外では中・高校の公式テストのオンライン化が進んでいます。学習到達度を確認するPISAでは、2015年からCBTへ移行しました。CBTへ移行するために、キーボードでの入力形式も取り入れられています。
海外では、試験の一部にCBTを導入するケースもありますが、完全移行の試験も多く、CBTによる学力調査は国際的な標準となりつつあります。
CBTが普及した背景
CBTが普及したのは、コンピューター環境の進化によるものです。年々、パソコンやタブレットの普及率は上がっています。大容量の情報を処理する環境も整備されてきたため、オンラインでのテストが利用されるようになってきました。
コロナ禍によりCBT試験が急増した理由
新型コロナウイルスが私たちの生活にもたらした変化は多岐にわたります。その中のひとつが受験方法です。
みなさんもご存知の通り、コロナ禍の2019年末から2023年まで世界的規模で猛威をふるった新型コロナウイルス感染症の流行では、感染予防のため、マスク着用や屋内の定期的な換気、手洗いや手指消毒が推奨されたのは記憶に新しいのではないでしょうか。
飛沫感染や接触感染の可能性があるため、他者となるべく身体的距離(ソーシャルディスタンス)を確保することも重要視されました。
そのため、コロナ禍が猛威を振るった2020年には多くの試験が開催延期・中止の措置をとることになりました。一方CBTは全国各地にテスト会場があり、頻繁に試験を開催しています。
これにより受験者を時期と地域で分散させられ、テスト会場の多くでは10名程度の小規模での開催がとられているケースが多く、コロナ禍における予防対策(密集・密接・密閉状態の回避)が行き届く結果となりました。
パンデミックの状況下においても、PBTに比べて試験が中止になるケースが少ないことが世間の注目・高評価を受け、現在のCBTの急増へとつながったのです。
パソコン使用が一般化した
パソコン業務に携わらない方でもパソコンを使用することが一般的になっているため、試験を実施する団体側もCBTを導入しやすくなった背景もあります。
CBTを取り入れてみることで、今までの試験スタイルでは不可能であったCBTのメリットが確認できます。CBTは蓄積データをもとに個別で問題を変えられるため、個々に合ったカリキュラムで学べる効率的な学習が可能です。
このように、CBTを取り入れることはコストを下げて試験が実施できるだけでなく、それぞれが効率的に学べるなどのメリットが生まれました。
まとめ
CBTとはパソコンを利用して行う試験のことです。筆記試験と同じように試験会場に足を運ぶ必要はありますが、問題用紙や解答用紙を用意する必要はありません。同じくパソコンを利用して行うIBTがありますが、IBTはどこでも受験できる自身でパソコン環境を用意する試験方法です。
CBTは筆記試験よりも日程が複数あり試験会場も多いため、足を運びやすいメリットがあります。また、一般の筆記試験で考えられる問題漏えいや替え玉受験などは、CBTならリスクを減らせます。試験問題はインターネット上で送受信されるため外には漏れにくく、パソコンの顔認証システムを利用して、本人とみなされないと受験できないようにするなどの対策が可能です。
CBTは答えの正誤がひとつと決まっている試験や、マークシート方式の試験への導入に適しています。そのため、国内では企業の採用試験に用いられる適性検査や学校の学力検査、資格や検定試験に利用されています。また、海外では中・高校の公式テストにも取り入れられるなど、世界的にCBTは標準になりつつある試験方法です。