CBTとは?どのような試験方法なのか?

公開日: 2024/02/08 最終更新日: 2024/07/29
オンライン試験

ここ数年、CBTという試験方式の導入が増えているのはご存知ですか。従来の試験といえば試験会場では問題用紙と解答用紙が配られる筆記試験が主流でした。筆記試験は日程や試験会場が限られており、遠方のかたが試験を受けるにはハードルがありました。

しかし、CBTを導入した試験であれば、試験会場や日程の選択肢が多いため、これまでよりも気軽に試験を受けられます。

そこで今回は、CBTとはどんな試験なのかを解説します。安全性や具体的な導入例についても紹介します。

CBTとは

CBTとは「Computer Based Testing」の略で、パソコンを利用して解答する試験のことです。試験会場に足を運ぶ点は同じですが、筆記試験とは異なり、試験ではパソコンしか使用しません。

CBTは、パソコン環境が整えられた会場で実施する試験方法です。試験会場は委託されたテスト事業者が取り仕切ります。テスト事業者が用意した会場や、パソコンスクールなどで実施されるのが一般的です。

CBTは筆記試験とは異なり、複数試験日が設定されています。また、実施箇所も多いため、会場に足を運びやすいところもメリットです。

IBTとの違い

同じくパソコンを利用した試験でIBTがあります。IBTはCBTのように会場に用意されたパソコンを利用するのではなく、自身でパソコン環境を整えて受験する試験方法です。実施場所は指定されないため、自宅などどこでも実施できます。

企業の関係者や学校の生徒など、団体で複数人受験する場合は、IBTを選択するケースが一般的です。

ただし、好きな場所で受験できるIBTはカンニングといった不正行為が発生しやすくなります。そのため、IBTでの試験を行うなら不正を見抜くシステムの導入が必要です。しかし、IBTは会場の準備が不要なため、一度の受験人数は無制限などのメリットがあります。

パソコンを利用した試験でも、会場で準備されたパソコンで受験するのはCBT、自分でパソコン環境を整え好きな場所で受験するのはIBTです。

CBTの安全性

CBTは筆記試験などで考えられるさまざまなリスクを減らせます。試験で考えられるリスクは、カンニング・替え玉受験・問題漏えい・紛失などです。

パソコンを使うCBTでは、試験問題はインターネット回線上で送受信されるため、問題漏えいや紛失が起こるリスクはほとんどありません。また、試験会場では1台ずつにパーテーションを設ける対策や、試験監督者を配置することで、カンニングできない環境を作っています。

さらに、不正行為を感知するシステムの開発で、よりカンニングしにくい環境づくりが可能です。そのほか、試験前にパソコンの顔認証システムで替え玉受験を防止する、試験問題を毎回変更するなど、筆記試験では難しい不正防止対策が取り入れられています。

CBTのメリットは?

CBTは、全国にあるテストセンターや自宅で試験が受けられる、コンピューターを使った試験の方式です。キーボードとマウスを使ってテストを受けるので、大量の紙が不要になったり試験監督などの人件費が不要になったりと、たくさんのメリットがあります。

CBTは、日本漢字検定や日本英語検定などの資格試験や採用試験、学力調査などで使用されており、試験ごとにさまざまな試験場に行かなくても、最寄りのテストセンターで試験が行われるので受験者も主催者も、負担を減らせることが可能になりました。

また、CBTは問題が暗号化されて送受信されるので、人の手が加えられないよう対策されています。セキュリティが強化されているので、大事な試験で不正が起きにくくなっています。そのほか、従来の試験方法ではマークシート形式がほとんどで問題の幅が限られていましたが、CBTなら動画や音声を使う問題、受験者に操作させる問題も出題できます。

たとえば、日本英語検定では、2013年からCBT方式を採用しており、2016年度からは、スピーキングテストが5級や4級にも導入され、筆記やリスニングと同じ試験中に受けることができます。

従来は、3級以下はマークシートの筆記試験のみでした。しかし、CBTを導入したことでスピーキング能力も試験内容に追加しており、話す能力を身につけることが可能になりました。スピーキングテストを受ける人は、ヘッドセットなどをつけて、パソコンに向かって解答を話しています。

受験者側のメリットは?

CBTは、受験者にとってもメリットがたくさんあります。ここでは、受験者側のメリットについて解説します。

試験会場を自由に選べる

CBTは、全国にあるテストセンターのほか、パソコンがあれば自宅や学校、会社などさまざまなところで試験を受けることができます。自宅でも試験が受けられるのは、受験に対するハードルが低くなるメリットがあります。

そのため、CBTは非常事態にも強いです。感染症や天候などの影響を受けにくいので、昨今の緊急事態宣言下や異常気象でも、試験が中止になる事態を防ぐことができます。

その場で試験の正答数が分かる

CBTは、コンピューターに直接解答を打ち込むので、解答を終えたその場で結果を知ることが可能です。従来なら、試験後は問題の正解が分からずモヤモヤしながら過ごした人や、答え合わせのために塾などの解説をチェックしていた人は多いです。

しかし、CBTを導入すればすぐに正答数が分かるため、その場で自分の解答と照らし合わせることができます。正式な合否発表の通知が来るのは当日ではありませんが、正答数が分かれば結果をドキドキしながら待つ必要はありません。次のレベルに向けての勉強や再挑戦のための勉強などに時間を有効に使えます。受験者の貴重な時間のロスが削減できます。

主催側のメリット

CBTは、主催者にとってもたくさんのメリットがあります。ここでは、主催者にとってのメリットについて解説します。

負担が減る

CBTなら、どんな種類の試験でも会場が絞られるため、試験会場の把握や準備などの負担が減らせます。従来なら、全国各地で学校の教室を確保したり、試験監督の募集を掛けたりと、試験をするたびにたくさんの労力が使われていました。

しかし、CBTではパソコンを通して受験者の動向をチェックできるようになりました。試験後も、問題用紙の回収や採点などの労力が減らせるため、人件費の削減が可能です。

受験者のデータを一括管理できる

CBTは、受験者の情報も管理できます。受験者1人ひとりの正答数や解答時間、学習到達度などを把握できるため、塾や学校の先生に掛かる負担もかなり解消されます。試験の種類にもよりますが、受験票の発行も必要なく、受験者が提示する公的な身分証明書で本人確認をパソコンで行います。

管理されたデータから、合否の仕分けや連絡通知などもスムーズに行うことも可能です。また、分析結果をもとに、試験問題の質を上げていけるため、よりハイレベルな試験を実施できるのもメリットです。

CBTが向いている試験の種類

CBTが向いている試験は、マークシート方式の試験です。CBTは採点を自動的に行えるメリットがあります。あらかじめ、問題に対する答えの情報や採点ルールを設定するため、正誤が容易に判断できるマークシート方式なら、CBTの導入が容易です。

また、マークシート方式だけでなく、計算問題のような答えがひとつしかない試験や、理解度を判定するアセスメントテストなどもCBTは向いています。

反対に、記述式の試験やいくつもの答えが考えられる問題がある試験は、CBTには向いていません。採点者が判断して正解とする、もしくは部分点もある問題の自動採点は難しくなります。

国内のCBT導入例

CBTは国内のさまざまな試験で導入されています。企業や学校と、一般の検定試験それぞれの導入事例を紹介します。

企業の新卒・中途採用の適性検査

企業では、新卒や中途採用で取り入れられている、SPIや玉手箱などの適性検査でCBTが導入されています。

筆記試験で適性検査を行う場合、事前に問題用紙や解答用紙の準備、さらに準備と当日の会場の人員それぞれを確保する必要があるなど、手間やコストがかかります。しかし、CBTを導入した試験なら試験会場にパソコンを設置するのみで、用紙を印刷する手間は必要ありません。

また、試験に必要な人員も、事前準備に対しては筆記試験ほど必要ないため、人件費の削減が可能です。

試験後の作業もCBTなら手間も時間も削れます。CBTの採点はシステムを利用して自動で行うため、結果がすぐにわかります。そのため、適性検査の結果を手元に面接できるなど、効率的に採用試験を進めることが可能です。

学校での学力調査

近年では、学校での学力調査にCBTが導入されています。文部科学省は、小学生から高校生を対象としたCBTシステムを開発しました。生徒の学力や学習状況がデータ化されるため、今後の学習計画を立てるのに役立ちます。

今後、大学入試共通テストでもCBTの活用が検討されています。これにともない、いずれは大学入試でもCBT 形式が採用されるようになるなど、さらにCBTの導入が高まっていくでしょう。

資格・検定試験

答えがひとつしかない問題の多い、さまざまな資格・検定試験にもCBTが導入されています。CBTを活用している資格や検定試験の一部を紹介します。

日本漢字能力検定
実用英語技能検定
秘書検定
日商簿記検定
Eco検定
カラーコーディネーター検定試験
ビジネス実務法務検定試験
銀行業務検定
金融業務能力検定
ITパスポート
ITコーディネータ

これ以外にも、多くの団体で導入されています。

海外のCBT導入例

日本ではまだ導入されていませんが、海外では中・高校の公式テストのオンライン化が進んでいます。学習到達度を確認するPISAでは、2015年からCBTへ移行しました。CBTへ移行するために、キーボードでの入力形式も取り入れられています。

海外では、試験の一部にCBTを導入するケースもありますが、完全移行の試験も多く、CBTによる学力調査は国際的な標準となりつつあります。

CBTが普及した背景

CBTが普及したのは、コンピューター環境の進化によるものです。年々、パソコンやタブレットの普及率は上がっています。大容量の情報を処理する環境も整備されてきたため、オンラインでのテストが利用されるようになってきました。

また、パソコン業務に携わらない方でもパソコンを使用することが一般的になっているため、試験を実施する団体側もCBTを導入しやすくなった背景もあります。

CBTを取り入れてみることで、今までの試験スタイルでは不可能であったCBTのメリットが確認できます。CBTは蓄積データをもとに個別で問題を変えられるため、個々に合ったカリキュラムで学べる効率的な学習が可能です。

このように、CBTを取り入れることはコストを下げて試験が実施できるだけでなく、それぞれが効率的に学べるなどのメリットが生まれました。

まとめ

CBTとはパソコンを利用して行う試験のことです。筆記試験と同じように試験会場に足を運ぶ必要はありますが、問題用紙や解答用紙を用意する必要はありません。同じくパソコンを利用して行うIBTがありますが、IBTはどこでも受験できる自身でパソコン環境を用意する試験方法です。

CBTは筆記試験よりも日程が複数あり試験会場も多いため、足を運びやすいメリットがあります。また、一般の筆記試験で考えられる問題漏えいや替え玉受験などは、CBTならリスクを減らせます。試験問題はインターネット上で送受信されるため外には漏れにくく、パソコンの顔認証システムを利用して、本人とみなされないと受験できないようにするなどの対策が可能です。

CBTは答えの正誤がひとつと決まっている試験や、マークシート方式の試験への導入に適しています。そのため、国内では企業の採用試験に用いられる適性検査や学校の学力検査、資格や検定試験に利用されています。また、海外では中・高校の公式テストにも取り入れられるなど、世界的にCBTは標準になりつつある試験方法です。

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